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01/09
FELICE TAVOLA NUOVA
昨年末は久しぶりに怒濤の宴会ラッシュ。ぎりぎり31日まで仕事もしながらこなしたので、買い出しや仕込みに追われ久々にハードな師走っぷりでした。宴会は月半ばあたりから始め、私とイサオ君それぞれの仕事関係やオペラ関係、友人たちグループ等カテゴリーに分けて週末ごとの土日に日程をアレンジ。リクエストなどもあって、メニューは(一時恒例化していた鴨鍋や河豚などは一度もなく)どの回もすべてイタリアンとなった。まとまった人数の場合、2日連続にしたほうが準備もいっぺんに出来るから効率的なんだけど、予想通り食べ物まみれというか(仕事の合間を縫って)四六時中料理しているような状態になった。毎回同じメニューだとこっちが(作るのも食べるのも)飽きちゃうので、ベースになる料理を決めたら少しずつどこかに変化をつける。だから回によってカルパッチョがあったり、オッソブッコだったり、ティラミスありといろいろ。クリスマスにはちょっと中休みでフツウに大人しくしていようと思ったのに、つい出来心で友人のアメリカンのお宅に声をかけたら、ちゃんとパーティーをアレンジしてるわけじゃないけど一応クリスマスだからターキーを焼くつもりという。じゃあ、簡単に何か持ち寄りにして一緒に食べようかと、とんとん拍子に話はまとまり(ある意味確信犯の部分もあるんですけどね)、そうとなったらデコレーションもしてみようか、タラバガニもあるんだけど〜(大量のサラダとグラタンになった)、豪華なケーキも貰っちゃたよということで、結局は総勢10人あまりのかなり正しくゴージャスなクリスマスパーティーになっちゃった。当然翌日は山のようなご馳走の残り物を食べることに。数えてみたら、年末の宴会で飲み食いしたのべ人数(我々2人も入れて)はなんと45人。当然ながら買い出し作業も半端ではなく、ワインの消費量も凄い。友人たちの場合には予めメニューの概要を告げてワインを持ってきてもらうようお願いすることにしているが、それだけでは足りないからこちらもある程度は用意しておかなければならない。昨年の暮れは実にタイミングよく、とあるワイン輸入会社の特別販売会に行くチャンスがありラッキーだった。というわけで年末の宴会の買い出しだけでもかなりの出費となるけれど、いつもいうように外食することを考えたらリーズナブルなものである。第一間違いなく美味いものが食べられるしね。我が家では普段から食材調達は主にイサオ君の役目。まとまった買い出しの時は知人の車を借りて2人で行くこともあるけれど、築地に魚を買いに行くとなれば私抜きの方がいいらしい。私が同行するとどうしても冷蔵庫のスペースやら調理の手間やら段取りとか現実的なことが気になって、なるべく余計なモノを買わないようにセーブをかけてしまうからだ。多くの場合「そんなに買ってどうするの!」ということになり「市場は出会いが大切」がモットー(つまり市場に行ってから食材次第でメニューを決める出たとこ勝負ね)のイサオ君と意見がぶつかる。予定どおりに買うだけでは、男たるもの狩猟民族としての気持ちがおさまらず、ひどく欲求不満に陥るようなのだ。なので、暮れの築地行きには私はついていかないことにした。その朝、イサオ君は同様の友人S君と待ち合わせ、男ふたりリュックサックの完全装備で出かけていった。(暮れの築地へ車で出かけるのはやめたほうがいい。駐車するところがないのだ)果たして、彼らが思いっきり「大人買い」ならぬ「男買い」してきた魚の量は超弩級で、気持ちよ〜く箱買いできたと満足しきり。もちろんその後は自己責任もあって、数時間もの忍耐を要する魚の下ごしらえ作業に突入することになる。ちなみにこの日の料理を挙げてみると---「殻つき生牡蠣」30個「ひしこいわしのレモンマリネ」ざっと150匹「ひしこいわしのギリシャ風」これも100匹ほど(さらに保存用に梅干し煮も作る)「芝海老のニンニク風味」これも100匹以上あったな「いわしのサオール(甘酢漬け)」約50匹「海老のグリル」約40匹「マテ貝のニンニクオイル蒸し」12個「イカ墨のリゾット」2日間で17人前、この他に定番の「焼き野菜」(ペペローニ、ズッキーニ、茄子、トレヴィゾ、アスパラガス)と前日から仕込んだ大量の「トリッパの煮込み」「きのこのトリフォラート」が加わる。いうなればちょっとしたトラットリアくらいの量だ。さらに番外編の「しめ鯖」の仕込みもして夕方にはもうへとへとである。その労力の甲斐あって、さすが新鮮な築地の魚はどれも旨く、大量の料理も気持いいくらい食べ尽くされた。ビアンコ中心に飲んだワインの空瓶もかなりのもので、暮れのゴミ出しの日にはちょっと気がひけたほど。料理自体はちっとも苦にはならないけれど、毎日毎日同じ料理を仕込むのは絶対に耐えられないだろうな。年末のイベントとしてならいいけど、やっぱり料理で商売する気にはならないなと改めて思った次第。ともあれ一年の締めくくりに皆と美味なる食卓を囲めるのは幸せなことと心から感謝。世の中は前代未聞の不況の嵐、大変な時代にになったものだけれど、こんな時こそ普段何気なく見逃しているような事も改めて見直し大切に感じるいいチャンスなのかもしれないと思う。今年も毎日の食卓にたくさんの幸せが乗っていますように。
FELICE  TAVOLA  NUOVA